books_破滅の廃棄者

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〔序論〕
まきこ――それは、食品を無差別に捨て続ける存在。
Webにはこう書かれている。「まきこは、別世界で人類を困らせ、支配するために開発された。しかし、予期せぬ失敗で暴走し、開発者たちはまきこを制御できなくなった。その結果、まきこは異世界に放逐されたのだ」。
今、この世界では深刻な食糧危機が迫っている。

〔1章〕
「まきこは世界中の食糧を探しては燃やし、捨て続けている。人々の苦しみは増すばかりだ」。
そんなニュースを毎日のように目にする。
幸い日本にはまだ上陸していないが、輸入はすべて止まっている。
そんな中、友達と外食に行くことになった。
楽しみにしていたが、レストランで出迎えたのは、見慣れない「何か」だった。
料理を注文すると、その「何か」は話しかけてきた。
「キャナイ スロー ザット アウェイ?」(訳:それ捨てていい?)
ジャスト セイ 'イェス'」(訳:「はい」って言えばいい)
「イフ ユー ドント セイ イェス アイル タッチ ユー」(訳:はいって言わなければ触れるぞ)。
それで確信した――「まきこ」だ。
今、まきこ病の患者は世界中で70億人に達している。
全世界の人口は150億人、その半数近くが感染しているのだ。
まきこに触れられてはならないと、私は必死で「はい」と答えた。
次の瞬間、料理は燃やされていた。

〔2章〕
現在、世界中の科学者たちがまきこを倒す方法を模索している。
Webにもそう記されているが、今のところ実用的な手段は見つかっていない。
理由は単純だ。
まきこは暴走しており、物理法則さえも無視しているからだ。
私は友達とともに、何とか3kgの貴重な食料を犠牲にして生き延びた。
世界中の食品ロスは1日あたりおよそ500,000トンで、その99.99%がまきこによる「廃棄」だ。
対して、世界の食糧生産量は1日300,000トン。
どう見ても、1日につき200,000トンの食料が不足している。
今や食糧は貴重で、1gあたり1,000円もする。
飲み物はまきこの「廃棄」対象ではないため、1gあたり1円以下と安価だが、腐っているため誰も手をつけない。
家庭菜園がブームになっており、私もトマトやピーマン、カボチャを育てている。
種は半月で育ち、枯れない――まきこに腐らされない限りは。

〔3章〕
あれから1年が経った。
毎日トマトばかりを食べている。
ピーマンやカボチャはすでにまきこに「廃棄」された。
まきこは未だ世界中で食糧、特に加工食品を無差別に廃棄している。
まきこの目的は誰にも分からないが、世界の人々は食品ロスこそがまきこの目的だと考えている。
そのため、科学者たちはその特性を逆手に取り、まきこを倒す計画を進めているという。
私は過去1年、家から一歩も外に出ていない。

〔4章〕
ついに、まきこを倒す装置が完成したという。
あれから10年が経ち、科学者たちは「まきこ撃退砲」を開発した。
食品を囮にして、まきこを閉じ込め、消滅させる計画だ。
物理法則を無視するまきこに対し、成功するかは未知数だが、挑戦するほかない。
科学者たちはまきこが好む加工食品を1トン密かに用意し、まきこを誘き寄せた。
まきこが現れ、食料を燃やし始めた瞬間、周囲の扉が閉まり、まきこは密閉空間に閉じ込められた。
装置が作動し、全世界の人々は一斉に祈った――「まきこよ、消えろ」。
その声はまきこ病で苦しむ者たち、失われた食糧、その他全てのために響き渡った。

〔5章〕
まきこは消滅した。
暗い空が晴れ、人々は歓喜の声を上げた。
昼夜を問わず、世界中の都市の人々が「やったぁぁーー!!!」と歓声に包まれた。
SNSへの投稿速度は過去最高を記録し、全てがまきこの消滅に関する話題で埋め尽くされた。
テレビもラジオも、まきこの消失を祝うニュースで溢れていた。
一方で、犠牲者への黙祷も行われ、平和が戻った世界に感謝の念が広がった。

〔結論〕
まきこの消滅から5年が経過したが、まきこが残した損害を復興するための作業は続いている。
復興はまだほとんど完了しておらず、この世界が今後どのように変わっていくのかは誰にも分からない。
しかし、人々は希望を持ち、未来へと歩み続けている。

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